本研究は乾燥椎茸の品質向上を目指して、遠赤外線椎茸乾燥機の開発を行なおうとするものである。昨年度試作した遠赤外線乾燥装置を使用し、さらに詳細に、椎茸への赤外線放射乾燥特性、放射加熱による赤外線の椎茸への浸透性等を測定し、データの蓄積を行った。 赤外線の放射加熱は、空気にほとんど吸収されないため、直接、被加熱物表面に到達し、吸収され、加熱効果を現す。さらに被加熱物の内部までわずかではあるが放射加熱の効果を与えることが出来るため、椎茸のような薄い形状のものの加熱を急速に行えると言われている。そこで、昨年試作した同装置を透気方式で熱風、遠赤外線およびこれらの併用の3通りの実験が出来るように改造し、乾燥条件と熱効率、乾燥速度、椎茸の乾燥状態、椎茸の品質等の関係を調べた。赤外線の吸収係数および加熱による温度変化の実測値から、赤外線の椎茸内部への浸透距離を推定した。その結果、椎茸表面近傍の温度変化及び媒体の熱物性(密度、比熱、熱伝導度)を実測することによって、遠赤外線エネルギの浸透距離を推定することが出来た。また水の吸収係数は2.5μm以上の長波長側では大きく、短波長側では小さくなるので、長波長側の赤外線エネルギは椎茸表面でほとんど吸収されてしまう。したがって短波長側赤外線エネルギが椎茸内部の温度上昇に影響を与えるなどを明らかにした。
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