研究概要 |
衛星データから推定した日射量や実測によって得られる気象経過を入力することにより,コンピュータ上に広域における作物生育の状況を作り出すことを目標として,今年度は大別すると以下の3項目についての研究を行った。 1.衛星データによる日射量の推定 雲量の空間分布に基づくGMS(ひまわり)可視データによる陸域用の日射量推定モデルを作成・改良を行った。GMSの可視バンドデータからアルベドを求めて晴天か曇天かを判断し,気候値や実測値を基にして日射の減衰を量的に決定するアルゴリズムを用いた。推定値の算出に当っては,GMSから直接受信したS-VISSRデータを保管し,北海道の領域を切出し,さらに地上実測値の得られる地点部分を抽出してモデルの入力値として利用した。 2.アメダスの気象値を1kmメッシュに拡張する手法開発 アメダスの時別値データを用いてメッシュ展開を行い,気温・風速・日照時間の空間分布を計算するために,地形因子解析法に新たな考え方を盛り込んだモデルを開発した。これは,アメダスの測定値からメッシュデータを補間する際に,予測値は距離成分と地形成分を合計したものとして計算する手法である。従来,予測法として近隣の観測点からの距離に応じて重み付けした平均値を用いる方法があったが,これより精度が向上するのが確認できた。 3.作物生育のシミュレーションモデル 既存の水稲とダイズの作物生育シミュレーションモデルを用いて,過去の気象値を入力して求められた収量と実際の収量とを比較した結果,妥当な結果が得られ,今後,衛星データと気象データの複合利用による作物生育のモニタリングへの利用可能性が確認できた。
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