研究概要 |
近年,熱画像,近赤外線,CCD TVカメラにより得られた画像処理を利用した農作物の成長,ストレス状態,肥料の状態等を非破壊的に,検出しようとする研究が,盛んに行われるようになった.いずれの研究も,電磁波の一種である可視光から赤外線領域の光の吸収あるいは反射特性と,植物体の保有する化学的成分や状態との関連付けを行い,非破壊的に計測することを自的とするものである.本研究もこれらの研究に属するものであるが,光と比較するとかなり長波長の1GHzから3GHzの周波数帯のマイクロウェーブを利用することにより,植物体の一部だけではなく植物体全体としての水ストレス状態を検出しようとするものである. 定対象の植物体を含めた空間のマイクロウェーブの伝送特性は,植物の水分の分布,化学的組成、形態、温度の変化など非常に多くの要因によって複合的に影響を受ける.それらの影響を全部含めた状態の中で,S21を測定する事で植物の水ストレス状態の非破壊的検出が可能であるか実験的検証を行った.検証に当たっては,本研究が採用している測定方式であるオープンスペース法固有の電磁波の反射や干渉など,環境が測定に与える影響を低減させるために電波吸収体を導入した。12/12時間(明期/暗期),気温を26/19℃(明期/暗期),測定高さにおける光量子密度を200±10μmolm^2 s^<-1>の条件下で,植物に水ストレスを与え,水ストレス付加後の時間経過に伴うマイクロウェープの伝送特性(S21)の変化と,植物体の生理状態を表す光合成速度及び気孔コンダクタンスの変化を測定した.マイクロウェーブの周波数は,1GHzから3GHzを使用した。実験的の結果、1200MHz付近の低い周波数域では、初期の軽い水ストレスの検出に有効であり、2400MHz以上の高い周波数域では、中程度以上の重い水ストレスの検出に有用であることが明らかになっか。また、植物体の成長に伴い、水ストレスの植物体に与える影響は,S21の変化に大きな影響を与えることがわかった.
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