研究概要 |
平成13年度の研究成果に基づいて実験を行い,得られた成果は以下のとおり要約される. (1)カゼインホスホペプチド(CPP)を飼料に添加してアレルギー自然発症マウスであるNCマウスに与えると,そのマウスのアレルギーの発症はCPP無添加飼料で飼育した場合よりも明らかに軽減することを確認した.また,腸管IgAレベルはCPP添加飼料で飼育したマウスの方がCPP無添加飼料で飼育した場合よりも統計的に有意に高く,逆に.血清中のアレルゲン特異的IgE量は有意に低いことを示した. (2)食品添加物として認可されている14種のプロテアーゼで牛乳カゼインを消化し,それらの消化物から調製したCPPのIgA産生促進活性やホスホセリン集中域を認識した抗体との反応性を調べることにより,コウジカビ由来のプロテアーゼでの消化は,ホスホセリン集中域を認識した抗体との反応性はきわめて低いが,高いIgA産生促進活性を有するペプチド素材すなわち,本申請研究で目的としたペプチド素材を生じることを明らかにした. (3)CPPがIgA産生促進活性を示すのはリンパ球表面のレセプターにそのペプチドが結合することから始まる.また,SerP-X-SerPがIgA産生を促進する.これらのことからレセプターとの結合部分はアミノ酸3残基程度と推察される.そこで,デキストリンをリン酸存在下で加熱してリン酸化デキストリンを調製し,細胞培養系でそのリン酸化デキストリンはリンパ球の増殖促進活性やIgA産生促進活性のある二とを明らかにした.さらに,リン酸化デキストリン添加飼料で飼育したマウスのサルモネラ菌体成分に対する腸管IgAレベルは,リン酸化デキストリン無添加飼料で飼育したマウスのものよりも,統計的に有意に高いことを明らかにした.
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