研究概要 |
本研究は、家畜の免疫増進や抗病性を同上させるサイトカインや抗菌ペプチドを遺伝子組換え技術を応用して牧草へ導入し、家畜免疫増強因子を付与した牧童を育成するものである。 上記の研究目的を達成するためには、まず初めにその基本操作となる効率的な遺伝子導入法の確立を図った。用いる牧草種は、イネ科牧草のバヒアグラスとペレニアルライグラスおよびマメ科牧草のバーズフットトレフォイルである。バヒアグラスは、Akashi et al. (1993)の方法に準じてカルスを誘導し、パーティクルガン法(Akashi et al. 2002)によりGUSおよびbar耐性遺伝子(pDB1)を導入したところ、1.5%の効率で形質転換体を得た。一方、ペレニアルライグラスはSpangenberg et al.,(1995)の方法によりカルスを誘導し、アグロバクテリウム法を用いてGUSおよびハイグロマイシン耐性遺伝子(pGAH)を導入したところ、形質転換カルスを得ることができ、現在、再分化を促している。他方、バーズフットトレフォイルは、Akashi et al. (1998)により見いだされたスーパールートを用いて、先の報告(Akashi et al. 1998)であるアグロバクテリウム法によりGUSおよびカナイマシン耐性遺伝子(pBl121)の導入を試みたところ、形質転換根を得ることができた。これらの根は、培養過程で多くの植物体を再生し、GUS染色法で確認したところ、全ての再生個体が形質転換体であった。なお、これら3種における遺伝子組換え法の確立は、本研究が最初である。 以上のことから、バヒアグラス、ペレニアルライグラスおよびバーズフットトレフォイルにおいて遺伝子導入法が確立された。現在、遺伝子導入に用いたベクターのGUS遺伝子サイトに抗菌ペプチドを導入したプラスミドベクターを構築している。
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