1)食肉のテクスチャーに及ぼす筋内脂肪の役割 食肉の硬さはワーナーブラッツラー型パーツを備えたインストロンの最大圧縮加重で示されたが、調理法により脂肪や肉汁が流失し、食肉の物性が大きく変わるので、安定した値を得るための前処理条件が重要であった。そのため、内部温度モニタリング法、流(温)水中加熱、サンプリング法などを改良した。 2)筋内脂肪に富む各種筋肉における結合組織成分の変異 脂肪交雑のある黒毛和牛肉から、硬さが異なる胸最長筋(深部と浅部、いわゆるロース)、腰最長筋(深部と浅部、ロイン)、大腰筋(ヒレ)、大腿直筋、半膜筋(モモ)を採取し、結合組織成分を分析したところ、可溶性コラーゲン含量は0.05〜0.11%、不溶性コラーゲン含量は0.35〜0.68%であった。筋肉部位間に差はみられるものの、全コラーゲン含量からだけでは硬さの違いを説明できなかったが、硬いとされる半膜筋や大腿直筋は全コラーゲンに占める可溶性コラーゲンの割合が、軟らかい筋肉である腰最長筋や大腰筋よりも多い傾向にあった。筋内脂肪に富む肉でもコラーゲンは量より質が重要であることが示唆された。 3)食肉の色調に及ぼす筋内脂肪の影響 肉色が同じで種々の脂肪交雑を示すBMS模型に外部反射型分光式色差計を適用した。脂肪交雑が増すにつれて、*Lは大きく増加し、*aと*bは逆に減少した。つまり、同じ肉色にもかかわらず、表色系の数値に大きな影響が表れ、脂肪交雑肉ではこのような通常使われている表色系は適さないことが明らかとなった。さらに脂肪交雑の増加によって分光分布の形状は殆ど変化せず、反射率の高い方向に平行移動した。これらの原理から脂肪交雑肉であっても分光分布法によれば肉色を客観的数値によって評価できる可能性があった。また、市場段階の枝肉に適用でき、色調評価に役立つRGB画像を得られるスキャナー入力画像解析法を考案した。
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