〇食肉のテクスチャーに及ぼす筋内脂肪の役割 物性測定装置(インストロン)を用いて、筋内脂肪の役割を検討した。特に豚肉においては脂肪交雑が向上するとやわらかくなるという報告と変わらないとする報告がある。豚肉においてマーブリングスコアー(2〜8)と粗脂肪含量(2%〜10%)が上昇するにつれて、インストロン剪断力が直線的に減少した。また、調理ロスが少なくなるにつれて剪断力が直線的に減少した。しかしながら、マーブリングスコアー(あるいは粗脂肪含量)と調理ロスには相関がみられず、別々のシステムでやわらかさに影響していることが示唆された。 〇筋内脂肪の筋肉内、筋肉間における分布の検討 筋内脂肪が筋肉間で分布の仕方が違うかどうかを画像解析法によって数値化し、比較検討した。その結果、筋肉各部位における断面積の相関はある程度強いが、脂肪面積%では強いといえなかった。また、脂肪交雑のあらさを示す指数では相関はより弱くなった。従って脂肪交雑の評価には複数部位を対象とすることが望ましい。また、筋内脂肪測定法としてのスポット法は簡易で、器機の小型化に貢献でき、各部位で全面法の脂肪面積%やあらさ指数との相関が強く、バラツキ指標にも適用できることがわかった。また、紫外線蛍光法とスキャナー法は筋内脂肪のある枝肉断面の画像取込に有効であった。 〇食肉筋内脂肪の質の変動 市場に出荷された様々な枝肉から胸最長筋の脂肪酸組成を調べ、各種の影響を検討した。その結果、黒毛和種とF1(86頭)において飽和脂肪酸含量が最大51.2%、最少32.5%、1価不飽和脂肪酸が最大63.1%、最少46.4%、多価不飽和脂肪酸が最大5.2%、最少2.0%の変動があった。筋内脂肪脂肪酸組成における肉質等級、品種、性による影響はほとんど見られず、むしろ産地による影響がみられた。
|