新たな光学的評価技術を利用し、筋肉、脂肪のやわらかさや色調、質などの物性に及ぼす筋内脂肪(脂肪交雑)の役割を検討した。1.筋内脂肪を客観的に測定する方法として、紫外線による蛍光画像解析法は変色肉や淡色肉の筋内脂肪、さらには脂肪組織と結合組織が識別できる良い方法であり、小型専用装置も新たに開発した。プロット法は時間のかかる全面法と強い相関を示し、スキャナー法は狭い枝肉切開面でも応用できた。画像解析法は筋内脂肪異常の程度を判断するのにも有効な手段となり得た。また脂肪交雑は筋肉部位間で相関が高いとはいえなかった。2.食品物性測定装置インストロンを用い、筋内脂肪が加熱肉のやわらかさに及ぼす影響を検討した結果、豚肉においてマーブリングスコアーと粗脂肪含量が上昇するにつれ、また、調理ロスが少なくなるにつれて剪断力価が直線的に減少した。しかしながら、筋内脂肪量と調理ロスには相関がみられず、別々のシステムでやわらかさに影響していることが示唆された。3.筋内脂肪含量の高い豚肉において、調理肉のやわらかさ、脆さなどの物性に対して可溶性/全コラーゲン割合が重要であった。牛肉で筋内脂肪含量は不溶性コラーゲン含量や可溶性/全コラーゲン割合と関連が高かった。4.肉色では、筋内脂肪のある肉では通常のL^*a^*b^*表色系での評価は適切ではなく、分光分布で判断できる可能性があった。牛脂肪色は、主にカロチンの蓄積による蛍光、ヘモグロビン誘導体の吸光、貯蔵脂肪の反射、透過性と蛍光、結合組織、細胞膜などの脂質外成分の反射と蛍光に影響されることがわかった。5.牛において筋内脂肪は飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸含量において腎臓周囲脂肪、皮下脂肪の中間的性状を示し、それぞれと相関がみられた。筋内脂肪の質は品種や性、肉質等級よりも産地の影響が大きいようであった。
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