研究課題/領域番号 |
13660281
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
杉田 昭栄 宇都宮大学, 農学部, 教授 (50154472)
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研究分担者 |
青山 真人 宇都宮大学, 農学部, 助手 (90282384)
阿山 みよし 宇都宮大学, 工学部, 教授 (30251078)
菅原 邦生 宇都宮大学, 農学部, 教授 (50091947)
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キーワード | 色覚 / 行動 / 学習 / カテゴリー思考 / 数的概念 / カラス |
研究概要 |
昨年度はカラスの脳構造を中心に解析を行ったが、本年度は学習・行動に関する解析を中心に行った。その内容は以下のとおりである。 実験1(カテゴリー認識の実験):イヌとトリの組み合わせ、植物と動物の組み合わせで選択実験を行った。例えばイヌの写真30種、トリの写真30種用意し、試行ごとにそのペアーを変えた。同じ動物の写真は使用しないようにした。植物と動物の組み合わせも毎回の試行ごとに組み合わせを変えた。その結果、3羽のカラスとも正解率は約80%となり、少なくとも使用した写真においては概念的にその違いを区別する能力があることが示唆された。 実験2(量的概念の実験):銀、赤、黄、緑、青色の5種類の紙風船を市販の色紙で作成した。その中ドッグフードを8個(赤)、6個(黄)、4個(青)、2個(緑)、1個(銀)づつ入れて、無作為に飼育場所の地面に撒いて、どの色の紙風船から啄むかを10日間集計した。結果として第1日目〜6日目においては、最初に選択する選択する紙風船の色は銀、黄、青など傾向は見られなかった。しかし、第2、第3番目に選択する紙風船の色が日を増すにつれて赤や黄が多くなった。実験開始7日目からは最初に選択する紙風船の色が赤、次いで黄となりこの選択順は10日目まで変わらなかった。さらに7日目からは、最後に選択される紙風船の色は銀に固定されていた。したがって、カラスは紙風船の色と中の餌の量の二つの要素を組み合わせてより合理的な選択を一週間で取得したと結論づけられた。なお、本実験を行う前にカラスが色覚を有することを解剖学的行動学的に確認の上行っている。これらの実験は2.5x2.5x2.0mの網に囲われており、カラスはある程度自由に飛び回ることが可能な場所で行ったことを付記する。
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