ウズラ卵黄膜内層は卵胞顆粒膜細胞が分泌するZPCと肝臓が分泌するZP1で構成されている。ZP1が足場となって精子レセプターであるZPCが固定化されている。本研究では、肝臓で発現が確認されたウズラZP1遺伝子に着目し、合成エストロゲンによる遺伝子発現の誘導をRT-PCR法によって測定するシステムを開発した。ウズラZP1の塩基配列を決定し、そのORFから読んだアミノ酸配列を他の動物種のZP1およびZPBと比較した結果、全アミノ醸934残基のうちN末端から128〜571番目の配列は哺乳類のZP1またはZPBにはない特徴的な繰り返し配列を含んでおり、そのためアミノ酸配列の相同性は哺乳類に対しては40%以下であったが、ニワトリZP1とは87%であった。そこでこの繰り返し配列をさけるようにPCR用のプライマーを設計し、成熟および3週令未成熟の雌雄ウズラの肝臓から得たRNAを用いてRT-PCRをおこなった。その結果、成熟雌ウズラの肝臓でのみ880baseの増幅産物が検出された。エストロゲンによるZP1遺伝子発現の誘導を検討するため、成熟および未成熟の雌雄ウズラにジエチルスチルベステロールを2日間投与し、肝臓のmRNA量をRT-PCR法によって測定した。その結果、ジエチルスチルベステロールの投与によって成熟雄および未成熟雌雄ウズラで増幅産物が検出できることがわかった。産卵中の成熟雌ウズラにジエチルスチルベステロールを投与し、産卵された受精卵から孵化したヒナの肝臓のZP1の遺伝子発現を測定した。その結果、母親に投与するとヒナの肝臓で増幅産物が検出されることがわかった。
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