研究課題/領域番号 |
13660290
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
甲斐 藏 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (90115543)
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研究分担者 |
園田 豊 日本大学, 生物資源科学部, 講師 (00246852)
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キーワード | スナネズミ / 妊娠黄体 / 細胞培養 / LH / PGF2 α / RT-PCR / 3β-HSD |
研究概要 |
スナネズミ黄体細胞の単離と培養:スナネズミ黄体細胞の機能の解明を行うために、スナネズミ黄体細胞の分離法を検討すると共に、黄体細胞のサイズおよびLHやPGF2 αに対する反応性をP4放出を比較することにより検討した。コナゲナーゼ 0.05%、DNase 0.005%、BSA 0.1%中で37℃、15分間振とう培養による細胞分離法で得た細胞をフローサイトメトリーと共焦点顕微鏡により観察した。その結果、良好な細胞の得られたことが確認できた。そして、妊娠9日の黄体細胞には大型と小型細胞が存在し、妊娠18日では大部分が小型細胞であった。大型細胞のP4産生量がより多いとの報告があり、妊娠前期に大型細胞が多く存在したことは、前期の黄体におけるP4産生量が多いことを示唆するものである。単離した細胞を用い培養実験を行った。細胞培養では、無添加群とLH投与群との間にP4放出量に違いが見られた。LH投与群は妊娠9日と18日において無添加群に比べP4放出量が上昇した。しかし、妊娠期の間での差は認められなかった。P4放出量の少ない妊娠後期の細胞においてもLHに対する感受性があることは、妊娠後期のラットの黄体細胞においても同様であった。PGF2 α投与群においては無添加群との間に明瞭な差は見られなかった。この結果はラットの場合と同様であった。 ステロイドホルモン合成系の酵素の遺伝子発現:PregnenoloneからP4を合成する3β-HSDの活性をRT-PCR法を用いての検討を行った。スナネズミ3β-HSDに関するプライマーが知られていないことから、ラットで報告されているプライマー4種とマウスのもの1種を用い、スナネズミ黄体を用いてRT-PCR法を行った。その結果、ラットに用いられているプライマーのうち1種から単一のバンドが検出され、アガロースゲル電気泳動においてラットと同様の移動位置を示した。このプライマーを用い妊娠9日と18日におけるスナネズミ黄体の3β-HSD発現量を比較したところ、両者の間に明瞭な差は見られなかった。この結果はP4放出量における結果と異なるものだった。血中P4値の低下にはP4以降のステロイドホルモン、特に20 α-hydroxyprogesteroneへの代謝の増加がラットなどで報告されているので、妊娠18日のスナネズミ黄体においても、同様のことが考えらる。これらの代謝を制御する酵素の働きを追究することが必要であろう。
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