研究概要 |
マウス白血病ウイルスを基盤にした多遺伝子発現ベクターの開発を主目的にした。今回の研究で様々なベクターの改良を試みつつ目的を追求した。発光遺伝子をgag, env遺伝子領域に導入し、夫々の領域への遺伝子導入が可能であることを確かめた。Gag遺伝子領域の2つの翻訳開始コドンを消去しても遺伝子の発現に影響がないことを確かめた。白血病ウイルスのLTRは異種の動物細胞(イヌ:MDCK,サル;Vero細胞)での遺伝子発現に不十分であることがわかった。LTRのエンハンサー配列の代わりにヒトサイトメガロウイルスのプロモーターを種々の大きさで導入したところ、いずれのプロモーター活性も異種動物細胞での遺伝子発現に十分であることが明らかになった。Gag遺伝子領域に発光遺伝子、env遺伝子領域にイヌジステンパーウイルスのHまたはF遺伝子を導入し、単独または共にトランスフェクションすることで、H遺伝子には細胞を変性させる効果を持っていることが判明し、F遺伝子には細胞融合活性が有ることがわかった。共トランスフェクションを行い、発光遺伝子産物をマーカーにしてレーザー顕微鏡観察することによって、ジステンパーウイルスによる細胞融合過程を示すと思われる様々な融合細胞が観察された。
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