S.hyicusが産生する表皮剥脱毒素B(SHETB)には、S.aureus表皮剥脱毒素A(ETA)の活性領域と考えられている120残基目のヒスチジン、172残基目のアスパラギン酸、195残基目のセリンから成るcatalytic triadと類似の構造が見られるので、この構造を変化させるため、site directed mutagenesisを用いて塩基の置換を起こし、変異蛋白の構築を試みた。 SHETB遺伝子全長を増幅するプライマー、5'-末端および3'-末端に変異点を持ったプライマーを使用してPCRを実施し、アミノ酸1残基の置換を伴う1塩基が置換した変異SHETB遺伝子を増幅し、pUC系プラスミドに連結後、大腸菌に形質転換した。 上記の実験の結果、SHETBの135残基目のアスパラギン酸がアラニンに置換された変異蛋白(D135A)、187残基目のヒスチジンがアラニンに置換された変異蛋白(H187A)、209残基目のセリンがシステインに置換された変異蛋白(S209C)を発現する形質転換株を得た。 次に、本来のSHETB、変異SHETBを活性を保ったまま精製するため、抗SHETBマウスモノクローナル抗体をCNBr-activated Sepharose 4Bにカップリングし、アフィニティーカラムを作製した。 現在、上記の形質転換株の培養上清を濃縮後、アフィニティークロマトグラフィーによりSHETB蛋白を精製する方法を検討中である。
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