DNAワクチンを応用した自己免疫性糖尿病の遺伝子治療

2001 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 13660318
• 研究機関: 山口大学
• 研究代表者: 林 俊春 山口大学, 農学部, 教授 (90111484)
• キーワード: 自己免疫 / 膵島炎 / 唾液腺炎 / ラミニン / Th1 / Th2 / 全身性エリテマトーデス / アレルギー性気管支炎

研究概要

DNAワクチンによる自己免疫性糖尿病の遺伝子治療を行うための基礎実験を行ない以下の成績を得、それぞれ論文として公表している。
1 レオウイルス2型糖尿病(耐糖能異常)マウスの自己免疫性膵島炎の発生には全身性のTh1型免疫反応が関与すること、さらにそれの誘導のためにはIL-12が必要でそれがキーサイトカインとなっていること、さらにIL-18の存在が必要であることが明らかとなった。
2 アレルギー性気管支炎を卵白アルブミンで作製した。この場合は全身性および局所性のTh2型の反応が生じていることが明らかとなった。このことから、インターフェロン・ガンマ(Th1サイトカイン)とIL-4(Th2サイトカイン)発現プラスミドを処置すると、それぞれ病態が軽減または増悪した。このことから、本病態のDNAワクチンによる遺伝子治療の可能性が示唆された。
3 全身性エリテマトーデスのモデルマウスであるNZBxNZWF1マウスの病態(特に糸球体腎炎)にはインターフェロン・ガンマが病態に関与すること、さらにその発現プラスミド処置により病態が悪化することが明らかとなった。また本マウスではシェーグレン症候群に類似する唾液腺炎がみられる。その病変の発現にはラミニン発現が重要であり、これらはTh1・Th2型のサイトカインよりもむしろ、腫瘍壊死因子やIL-1などの炎症性サイトカインが関与することが示唆された。

研究成果

• [文献書誌] Hayashi, T. et al.: "Possible involvement of IL-12 in reovirus type-2-induced diabetes in newborn DBA/1 mice."Scand. J. Immunol.. 53. 1-8 (2001)
• [文献書誌] Hyashi, T., Shirach, T., Hasegawa, K.: "Relationship between sialoadenitis and periductal laminin expression in submandibular salivary gland of NZBxNZWF1 mice"J. Comp. Path.. 125. 208-213 (2001)
• [文献書誌] Hayashi, T., Hasegawa, K., Nakai, S., et al.: "Bronchial lesions of the late asthmatic response in BALB/c and C57BL/6 mice"J. Comp. Path.. 125. 208-213 (2001)
• [文献書誌] Hayashi, T., Hasegawa, K., Ohta, A., Maeda, K.: "Suppression of age-associated increase in IFN-r in the blood during chronic LDV infection in NZBxNZWF1 mice."J. Comp. Path.. 125(In press). (2001)
• [文献書誌] Hayashi T., Anayama, H., Hasegawa, K., Iwata, H., 0nodera, T: "Systemic adnministration of histamine prevents reovirus type 2-induced diabetes in newborn mice."J. Comp. Path.. 125(In press). (2001)
• [文献書誌] Hayashi, T., Maeda, K., Hasegawa, K., Nakai, S., Hamachi, T., Iwta, H.: "Interferon-r expressing-plasmid DNA reduces late allergic bronchitis in a Mouse model of asthma"Int. J. Exp. Path.. (In peess). (2002)