研究概要 |
内分泌かく乱物質の作用機構の解明および評価を個体レベルで行うために,クメステロールなど植物エストロゲンを多く含む飼料である,アルファルファのみを摂取して世代交代が可能なハムスターを、植物エストロゲンに対する抵抗系という視点で注目して,研究を行うことにした。つまり,動物は特定の環境にさらされる点では受動的にならざるを得ないが,食べ物を摂取する行動は能動的であり個体が選択可能な余地をもっている。さらに,摂取後の各消化、吸収そして代謝段階での無害化のメカニズムを知ることができる。すなわち,草食型のハムスターと通常の飼料で維持しているハムスターで系統や雌雄でも嗜好性や摂取後の反応に違いのあること,また,この選抜ハムスターの腸内細菌叢も特殊に変革されていることが明らかとなってきた。今年度の調査結果で,草食型に改良されたハムスターはホルモン様物質(DES)に対する摂取反応が異なること、特に雌雄でも反応に差異が生じ、雌では経験の効果が生じること。草食型ハムスター2系統間でも植物エストロゲンを多く含む飼料の摂取、消化で違いが認められる。さらに注目できるのは,同様に植物エストロゲンを摂取している2系統ハムスターでも血漿中エストラジオール濃度には雌雄ともに差異がないもののテストステロン濃度で大きな違いが現れ札次年度は,このことが植物エストロゲンに対する反応性の違いと特定できるのか,また妊娠期を通してどの時期に母体から胎児へ植物エストロゲンが移行するかについて検討する予定である。
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