研究概要 |
アルファルファにはクメステロールなどの植物エストロゲンが多く含まれていることが知られている。そこで飼料のみで継代が可能なハムスターを用いて,内分泌かく乱物質に対する動物体の反応性を検討し,対照系統と比較して感受系および抵抗系の存在を明らかにしようとした。まず,摂取段階で動物が嗜好に差が存在するかを検討したところ系統によって反応が異なるものの雄に比べて雌で摂取割合が高いことが明らかとなった。さらに,人工エストロゲンの飼料添加から雄は,濃度の上昇に対して摂取量を減らすのに対して雌ではエストロゲン濃度には依存せず,摂取量が変わらなかった。次いで,人工エストロゲンの新生仔投与は,分娩後24時間以内にdiethylstilbestrol(DES)100μgを含むコーン油50μlを40mg/体重(kg)となる量を腹腔内投与した。対照区にはコーン油を同量投与した。ハムスターが10週齢に到達した時点で内臓器,生殖器官重量および血清中のテステステロン・エストラジオール濃度を測定した。その結果,感受系は雄で10週齢時の性器〜肛門間距離(体長比)が添加区で高まる傾向にあったが雌では感受系,抵抗系共に対照区と添加区間に差異が認められなかった。一方,雌では腎臓重量(比体重値)で感受系が添加によって高まった。生殖器について雄では,精巣上体よりも精嚢重量でDES添加区が感受系,抵抗系に関係なく重量が極端に低下した。同様に,雌でも添加区の子宮重量がいずれの区でも増加した。これに対して,卵巣+卵管重量は抵抗系では変化がなかったのに対して感受系は明らかな増加を示した。雌における血中のエストラジオール濃度は通常,抵抗系が低く,感受系の半分であるがDES添加で感受系がさらに高まる傾向にあった。この傾向は植物エストロゲンでも同様の影響が現れた。
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