研究概要 |
雄ニワトリ個体および雄ニワトリ由来の初代培養肝細胞を用いた外因性内分泌撹乱物質の検索法の開発が本研究の目的である。指標としては肝臓および肝細胞でのビテロゲニンの発現を用いる。材料として用いる肝細胞の無血清初代培養系は平成13年度中に完成した(Sasaki et al.,2001)。この肝細胞培養系にエストラジオール-17βを添加したところ、ノイズがみられた。本法が高感度であることの一例であると考えられた。現在、培養容器および培地添加物の変更等の改良を行っている。 一方、ニワトリ雄個体を用いた外因性内分泌撹乱物質の検索法にも改良を加えた。グリセルアルデヒドリン酸デヒドロゲナーゼを内部標準として、半定量的に雄個体肝臓でのビテロゲニンの発現を確認することが可能となった(日本家禽学会春季大会、2002)。肝細胞を用いた系は多数の物質のスクリーニングに適しているが、個体を用いた方法は、より長期に渡る外因性内分泌撹乱物質の影響について調査することが可能である。研究代表者の所属する研究機関は霞ケ浦に隣接し、この地区の上水はすべて霞ケ浦より取水している。平成13年、霞ケ浦の外因性内分泌撹乱物質による汚染が報道された。平成14年度は、ニワトリ雄個体を用いた外因性内分泌撹乱物質の検索法を用い、霞ケ浦の汚染についても調査する予定である。具体的には、フィルター滅菌した湖水をニワトリ雄個体に長期飲水させ、肝臓でのビテロゲニン発現に及ぼす影響について調査する。フィルター等は平成13年度科学研究費の消耗品費ですでに購入した。これは地域的に考えると、最優先の研究であるとも考えられた。
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