1.イネ3量体Gタンパク質αサブユニット改変遺伝子の作出とその解析 イネ3量体Gタンパク質αサブユニット(RGA1)cDNAを、in vitro mutagenesis法を用いて、G48V、R191C、Q223L、A356Sの合計4種類の改変遺伝子を作出した。これら改変遺伝子の融合タンパク質を、大腸菌にて合成し、精製標品の酵素活性を測定した。R191CとQ223Lは、GTP結合能を保持し、かつ、GTPase活性を失っていたことから、両改変遺伝子は、恒常的に活性型を示すと考えた。 2.QL形質転換体の作出とその解析 イネ3量体Gタンパク質αサブユニット遺伝子自身のプロモーター制御下にQ223L改変遺伝子を連結し、アグロバクテリア法にてd1に形質転換した。形質転換体は、RT-PCR法とDirect sequencingにより導入遺伝子の発現を確認した。Q223L改変遺伝子を発現した形質転換イネ(d1QL)は、野生型イネより、背丈が若干長くなり、また、種子の長径も野生型のそれよりも長くなっていた。なお、顕著なSlender型の表現型は示さなかった。 野生型とd1QLの無胚半種子を用いて、αアミラーゼの誘導を、酵素活性とWestern Blotにより検討した。はじめに、野生型とd1QLの乾燥種子には、αアミラーゼが存在しないことをWestern Blotにより確認した。次に、3日間吸水した半種子を解析した。その結果、野生型の半種子はαアミラーゼを合成しないが、d1QLはαアミラーゼ活性を示した。Western blotの結果、翻訳産物の増加は、酵素活性の増加をほぼ反影していた。このことは、恒常的に活性型Gαが、αアミラーゼの合成を正に制御していることを示した。
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