研究課題
骨格筋発生における中間径フィラメントの再編成過程をラット胎児後肢骨格筋において調べた。形成されたばかりの筋管ではデスミン中間径フィラメントもプレクチンも筋管の長軸方向に配列する線維状構造物にみえたが、筋管が成熟するにつれまずプレクチンがZ線領域にアライメントすることが明らかになった。この段階ではデスミン中間径フィラメントはまだZ線領域にアライメントしておらず長軸方向に配列している。さらに成熟すると成獣骨格筋でみられるようにデスミン中間径フィラメントはプレクチンとともにZ線レベルにアライメントしていた。したがって、プレクチンはデスミン中間径フィラメントの再編成を誘導する位置にある分子であると考えられる。中間径フィラメントの再編成においてデスミン中間径フィラメントに先行してZ線にアライメントを示すプレクチンの役割を解析する目的でプレクチンN末に結合するタンパク質の検索をオーバーレイ結合アッセイを用いて行った。その結果プレクチンN末に結合するタンパク質として分子量約150kDaのタンパク質が見い出された。このタンパク質の部分アミノ酸配列を決定後ラット骨格筋cDNAライブラリーからのクローニングを行った結果、デスマスリンという新規タンパク質であることが判明した。今回新たにクローニングされたラット・デスマスリンは2001年に報告されたヒト・デスマスリンとアミノ酸配列の上で72.4%相同であり81.4%で相似であった。一方、プレクチン結合タンパク質であるデスマスリンのモノクローナル抗体ならびにポリクローナル抗体を作製し成獣ラット骨格筋で調べたところデスミン・プレクチンの局在と完全に一致しておりZ板周囲を取り囲むように存在し、また筋形質膜下にも局在していた。
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