研究概要 |
今年度はp53蛋白質と連携して機能するヌクレオボディ形成蛋白質S1-1(rat S1-1p110:全長852アミノ酸、S1-1p130:全長929アミノ酸)及びPML(human PML4:全長633アミノ酸,PML1:全長560アミノ酸)について研究を行った。S1-1蛋白質はRNA結合モチーフを有する核内蛋白質として発見された(井上晃1996年)。しかし、その生物学的機能については未知のままであった。本研究において、S1-1p110及びp130が核内へ移行しヌクレオボディを形成することを明らかにした。15年度には、ヌクレオボディ形成蛋白質として重要機能を有するPML(promyelocytic leuikemia)蛋白質とのアライメント解析、相同機能ドメインの解析を行った。その結果、S1-1及びPMLは約20アミノ酸の配列からなるホモロジーの高いドメインを二っ持つことを明らかにした。それぞれをEGKEドメイン並びにZドメインと命名した。S1-1、PML4及びPML1のEGKE並びにZドメインを欠損させたコンストラクトを作成し、Cos7細胞に発現させた。その結果、EGKE及びZドメインの欠損によりS1-1及びPMLのヌクレオボディ形成が阻害された。またPML4-GFP融合蛋白質をCos7細胞に発現させたところ、PML4-GFPは細胞質に蓄積すること、そしてその細胞質局在にはC末74アミノ酸に存在するドメインが関与することを明らかにした。PML4-GFPはS1-1-RFPと相互作用することにより核内へ移行し、自身のヌクレオボディとS1-1とのキメラヌクレオボディを形成した。C末74アミノ酸を欠くPML1-GFPは自身のヌクレオボディを形成するが、S1-1-RFPとの相互作用が無くキメラヌクレオボディを形成しなかった。従ってPML4のC末に存在するドメインがS1-1との相互作用及び細胞質局在に働くことが示唆された。
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