研究概要 |
本研究の目的は、新規GPIアンカー型蛋白質であるGPI-80の好中球細胞内局在と、接着分子であるβ2インテグリン(CD18)の活性化に伴うGPI-80の動態変化を、形態学的側面から明らかにすることである。 凍結超薄切片を用いた高分解能の免疫蛍光顕微鏡法を軸に、好中球において、GPI-80の局在を解析してみると、非刺激時は主に細胞内の顆粒様コンパートメントに存在しているが、fMLP刺激による好中球の活性化に伴い、GPI-80は移動し、細胞表面に発現されることが明らかとなった。次にCD18の局在を解析してみると、GPI-80と同様に、非刺激時は細胞内の顆粒様コンパートメントに、刺激により細胞表面に移動することがわかった。 CD18の活性化に伴うGPI-80の動態変化を明らかにするために、同一種の抗体を用いて行う新しい多重標識法である、Zenon法(Molecular Probes社)を導入して、GPI-80とCD18の2重染色を行い、解析を進めた。GPI-80とCD18の2重染色から、fMLP刺激により細胞表面に移動した両分子は、全てではないが、共局在を示した。今回の結果と、生化学的報告(Watanabe and Sendo Biochem Biophys Res Commun 294:692,2002,Yoshitake et al. J Leukoc Biol 71:205,2002)を考え合わせると、GPI-80は、CD18の活性化(好中球の活性化)に伴い、巨分子レベルでは、GPI-80とCD18が直接接触(GPI-80がCD18を直接修飾)していることが示唆された。
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