研究課題/領域番号 |
13670029
|
研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
杉本 啓治 日本医科大学, 医学部, 助教授 (20104002)
|
研究分担者 |
武政 徹 筑波大学, 体育科学系, 講師 (50236501)
山下 和雄 日本医科大学, 医学部, 教授 (70022796)
|
キーワード | 血管内皮細胞 / NO / 動脈樹 / DAF-2DA / 蛍光細胞化学 / 流れ刺激 / NO合成酵素 / HSP90 |
研究概要 |
健常ラットの各部血管の内皮細胞がどの程度のNOを産生しているのかを知る目的でラットの尾静脈からNO蛍光指示薬DAF-2DAを注入したがいずれの血管部位の内皮細胞内にも蛍光を検出できなかった。種々の原因が考えられるが、血中のエステラーゼにより本試薬が膜不通過性のDAF-2に分解されて細胞内に入らなくなっている可能性が高い。そこでDAF-2DAの分解を避ける目的で開腹後、ラットの血圧に相当する約1800mm H_2Oの静水圧でDAF-2DAを含んだ温生理的食塩水、あるいは温培養液で血管系を環流した。また、同様な操作は流量を調節できるペリスタポンプでも行ったが、未だ期待したほどの蛍光シグナルを得るに至っていない。原因の一つにはNO産生系は環境変化にとても敏感であるので、試薬を負荷する前に動物をより安定させた状況に置かねばならないのかも知れない。また、HUVECを用いた予備実験で培養液種によってもNOS活性に大きな違いが認められ、燐酸緩衝系のL15培養液が好成績を示すことが分かった。今後は湿度・温度を制御したインキュベータ中でDAF-2DA負荷前になるべく長く動物をL15で還流して検体の安定化を図り、目的達成にこぎつけたい。一方、取り出した血管片を用いた実験系ではアセチルコリンに反応して内皮細胞がNOを産生する程度は血管部位によって異なることが分かった。すなわち、腹大動脈>総腸骨動脈>胸大動脈>総頚動脈の順で蛍光シグナルが強かった。生体内での血管部位によるNO産生能の違いはこれからも十分に窺えるので、血管系全体での様子を近い将来、何としても捕まえたい。国内外からin vivoでの細胞内NOの可視化の技術面についてメールでの間い合わせが多いが、幸いまだ何処もこの件につき成功しては無いようである。
|