研究概要 |
1,メチルコランスレン(MC)刺激後のダイオキシン感受性培養肝細胞におけるダイオキシン受容体(AhR)及びHSP90の細胞内動態を免疫細胞化学-高感度化学発光反応検出系および蛍光抗体二重染色/レーザー顕微鏡法で調べた。はじめAhRとHSP90は細胞質の同一部位に検出されたが、FLET法では、分子結合による蛍光減衰は著明でなく、両分子の結合が疎であるか、または間に別の物質が介在する可能性が示された。メチルコランスレン(3MC)投与によりHSP90は細胞質に残存し、AhRは核に移行した。しかしながら、細胞質におけるHSP90の発光/蛍光強度は一時的にコントロール群の約30%程度またはそれ以下に減弱し、AhRと解離した後に構造が変化したか、または他の物質がHSP90抗体が認識するエピトープ付近に結合している可能性が示された。(調書記載の研究計画1-3項に対応)。また、この手法を用いて、内分泌細胞に特異的に発現するユビキチンリガーゼファミリーに属する新規蛋白の細胞内局在の解明に成功した(調書記載の研究計画3項の応用)。 2,CYP2B2について、ラット肝細胞におけるこれらのタンパクおよびそのmRNAの高感度定量解析をおこない、CYP2B2分子の合成と小胞体膜リン脂質合成酵素の間に密接な関係があり、同種の転写因子によって両者の転写が制御されている可能性が示された(調書記載の研究計画2および3項に対応)。また、ローズベンガル色素を注入後に光酸化したラット脳を用い、光酸化回復過程における神経細胞のc-fos発現モデルを確立し、C-fos発現とプロモータ領域の構造変化との関係解明を試みた(調書記載の研究計画3項の応用)。 3.CYP1A1 genomic DNAに発光レポーター(luciferase)遺伝子を繋いだハイブリッドDNAを作成し、転写因子結合後の転写活性をフォトンとして捉えることができた。次に、同DNAの5'-flankingフラグメントと転写調節因子とを、プロモータ制御因子(Sp1,CBP/p-300)の存在下または非存在下で反応させ、DNA構造の変化を光子検出と原子間力顕微鏡で調べたが、著明な変化は観察することができなかった。(調書記載の研究計画4-6項に対応)。
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