蛋白相互作用によるクロライドチャネルの調節機構

2001 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 13670035
• 研究機関: 秋田大学
• 研究代表者: 古川 哲史 秋田大学, 医学部, 助教授 (80251552)
• キーワード: クロライドチャネル / 蛋白相互作用 / 酵母2ハイブリッド法 / 細胞周期 / ユビキチン化 / サイクリン依存性キナーゼ / CFTR / PDZドメイン

研究概要

本年度は2種類のクロライドチャネル(ClC-2・ClC-3B)の蛋白相互作用による調節機構を検討した。
(1)ClC-2チャネル蛋白は細胞周期M期の分裂細胞に限局して発現し、細胞分裂後速やかに消失する。ClC-2チャネルはM期後半に限局してユビキチン化され26S-プロテアゾームシステムにより分解される。ClC-2はM期特異的サイクリン依存性キナーゼ(p34^<cdc2>/cyclin B)により632番目のSer残基がりん酸化されるが、ClC-2チャネルのユビキチン化はp34^<cdc2>/cyclin Bによるりん酸化がトリガーとなることが判明した。このM期特異的ユビキチン化が分裂後速やかなClC-2蛋白分解に関与すると考えられる。
(2)ClC-3Bは上皮細胞に特異的に発現し、その線毛上皮先端に局在する。ClC-3Bは細胞骨格蛋白EBP50の蛋白相互作用に重要なモチーフPDZドメインを介して嚢胞性線維症の原因分子CFTRとカップリングする。CFTRは更にezrinと呼ばれる蛋白と結合することによりprotein kinase Aとカップリングする。この一連の蛋白相互作用によりClC-3BはCFTR・protein Kinase A依存性に活性化され、上皮細胞におけるイオン輸送に重要な働きをすることが示唆された。

研究成果

• [文献書誌] T.Furukawa, Y.Ono, H.Tsuchiya, Y.Katayama, M-L.Bang, et al.: "Specific interaction of the potassium channel β-subunit minK with the sarcomeric protein T-cap suggests a T-tubule-myofibril linking system"Journal of Molecular Biology. 313. 775-784 (2001)
• [文献書誌] T.Furukawa, T.Ogura, Y-J.Zheng, H.Tsuchiya, Y.Katayama, et al.: "Phosphorylation and functional regulation of ClC-2 chloride channels expressed in Xenopus oocytes by M cyclin-dependent protein kinase"Journal of Physiology (London). (in press).
• [文献書誌] T.Ogura, T.Furukawa, T.Toyozaki, K.Yamada, Y-J.Zheng, et al.: "ClC-3B, a novel ClC-3 splicing variant that interacts with EBP50 and facilitates expression of CFTR-regulated ORCC"The FASEB Journal. (in press).