膜電位感受性色素を用いたニューロン活動の光学的多部位同時測定法を用いることにより、モルモット小腸粘膜下神経叢を構成するニューロンの電気的活動を光学的シグナルと、して多数の部位から同時測定し、その時間的・空間的パターンのマッピングをおこなった。 実験には幼弱モルモットから摘出した小腸壁の粘膜層と筋層の間から剥離した粘膜下神経叢を含むシート状の組織を取り出し、測定用チェンバの底のシリコンゴムに微小なピンで展開して固定した。この標本に、先ず、膜電位感受性色素による染色を容易にするため、薄い濃度のタンパク質分解酵素(collagenaseおよびprotease)を含む溶液中で約2時間incubateして結合組織をlooseにする処理を加えた。さらに標本を約12時間標準リンゲル液あるいは組織培養液中でincubateした後に、styry1系膜電位感受性色素di8-ANEPPS(またはdi4-ANEPPS)にて染色をおこない、ニューロン活動を色素の蛍光変化による光学的シグナルとして検出した。測定には414素子のマトリックス型フォトダイオードアレイを用いた。個々のフォトダイオード素子が光学的シグナルを検出する領域(pixel)と一つ一つのニューロンの形態は一対一対応をしていないので、pixelとニューロンの位置関係およびシグナルの波形のパターンを考慮しながら、個々のニューロンの活動電位に由来する光学的シグナルを同定し、各ニューロンが活動電位を発生するタイミングのマップを作成した。このマップにより、神経叢を構成する一つ一つのニューロンの発火パターンを明らかにすることが可能となった。このマップをもとにしたニューロン活動の時間的・空間的パターンの解析を現在進めている。
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