研究課題/領域番号 |
13670048
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
栗原 敏 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (90057026)
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研究分担者 |
大津 欣也 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (20294051)
本郷 賢一 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (00256447)
田中 悦子 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (70256410)
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キーワード | マウス心室筋 / 細胞内Ca transient / 張力 / Caポンプ / SERCA / 収縮蛋白系 / 遺伝子非改変マウス / エクオリン |
研究概要 |
我々は心筋細胞内Caイオン濃度を調節している筋小胞体のCaポンプ蛋白を過剰に発現したマウス心室筋の機能を調べた。マウス心室筋の基本的な生理特性が解明されていないので、正常マウス心室筋にエクオリン法を適用して、細胞内Ca transientと張力を同時測定し生理機能を調べた。マウスの心臓をランゲンドルフの灌流装置にとりつけ、BDMを作用させて心拍動を停止させた後、左心室を開けて乳頭筋を摘出した。BDM存在下で乳頭筋の両端を絹糸で結さつし、張力測定用トランスデューサと固定フックに取り付けた。正常タイロード氏液で灌流しながら、30-40個の表層細胞内に発光蛋白エクオリンを圧注入した。注入後電気刺激により単収縮を誘起し、Ca transient(CaT)と張力を同時に測定した。マウス心室筋のCaTのピーク値は1.8μM、time to peak lightは30msec、decay timeは36msecで、ラットと比べると、time to peak lightに差はなかったが、decay timeがやや遅かった。張力は2mN/mm^2で、time to peak tensionは70msec、relaxation timeは50mecでラットよりも張力の時間経過が速かった。遺伝子改変技術を用いて筋小胞体のCaポンプ蛋白SERCAを過剰発現した心筋では、CaTのpeak値は遺伝子非改変マウスよりも低く、peak tensionに差は見られなかった。また、time to peak lightに差は無かったが、time to peak tension, decay time, relaxation timeは有意に速かった。SERCA過剰発現マウス心筋ではCa handling、特にCa取り込みの促進と、それに伴う弛緩時間の短縮が観察されたが、time to peak tensionの短縮は、収縮蛋白系自体が修飾されていることを示唆している。
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