研究課題/領域番号 |
13670049
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
松尾 理 近畿大学, 医学部, 教授 (40030879)
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研究分担者 |
岡田 清孝 近畿大学, 医学部, 助手 (20185432)
上嶋 繁 近畿大学, 医学部, 助教授 (30193791)
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キーワード | 線溶系因子 / u-PA / t-PA / プラスミノーゲン / ノックアウトマウス / 血管新生 / 遺伝子発現 / MMP-2 |
研究概要 |
平成13年度に確立した線溶系因子ダブルノックアウトマウス(u-PA/u-PAR、u-PA/t-PA、α_2-AP/u-PA、α_2-AP/t-PA)に半球状の中空カプセルを皮下移植して、血管新生制御にかかわる線溶系因子の重要性について検討した。u-PAとt-PAのダブルノックアウトマウスにおいて、カプセルに付着した肉芽組織中の血管内皮細胞は野生型マウスに比べて少なく、u-PAとt-PAの両者が血管新生に関与していることが明らかにされた。また、このu-PA/t-PAダブルノックアウトマウスにおいては、MMP-2活性がカプセルの外側に付着した肉芽組織中で有意に低下し、カプセル内部に増殖してきた肉芽組織中で有意に高値を示すという興味深い結果が得られた。u-PA/t-PAダブルノックアウトマウスが血管新生にかかわることは、u-PAおよびt-PAによって活性化されるプラスミノーゲンが血管新生に重要であることを示唆する。そこで、プラスミノーゲン遺伝子の発現調節を、初代培養肝細胞を用いて検討した。肝細胞を高密度(細胞と細胞が密着した状態で細胞密度は1.0x10^5 cells/cm^2)で培養した場合、プラスミノーゲンmRNAの発現は一定の状態で保たれ、絶えずプラスミノーゲンを産生していると考えられた。一方、肝細胞を低密度(0.2x10^5cells/cm^2)で培養すると、プラスミノーゲンmRNAの発現は減少し、50時間後には1/10以下にまで低下することを明らかにした。細胞と細胞との接着が細胞内のシグナル伝達に影響を及ぼすことによって、このような結果が得られた可能性はある。しかし、その詳細な細胞内反応の解明には、今後の検討がさらに必要である。
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