研究課題/領域番号 |
13670065
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
環境生理学(含体力医学・栄養生理学)
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
二川 健 徳島大学, 医学部, 助手 (20263824)
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研究分担者 |
柴原 進 味の素株式会社, 栄養健康科学研究班, 主任研究員
六反 一仁 徳島大学, 医学部, 助教授 (10230898)
岸 恭一 徳島大学, 医学部, 教授 (80035435)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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キーワード | ユビキチン化システム / ジペプチド / L6細胞 / 酸化ストレス / 廃用性筋萎縮 |
研究概要 |
申請者らは、宇宙開発事業団との共同研究で、無重力や寝たきりなどの廃用性筋萎縮では、ユビキチン-プロテアソーム依存性の筋蛋白質分解が重要な働きをしていることを見出した(FASEB J.)。経口投与したいくつかのアミノ酸、なかでもシステインがラット筋蛋白質のユビキチン化を抑制し、尾部懸垂による筋萎縮の予防に有効であることもわかった(Biol.Chem.)。さらに、最近、酵母菌においてジペプチドがユビキチン化システムの重要な制御因子であることが報告された。以上の知見をもとに、哺乳動物においてユビキチン化システムの抑制に最も有効なジペプチドを発見し、それを用いて廃用性筋萎縮を予防しうる新しい食事の開発を目指した。宇宙フライトの模擬モデルである尾部懸垂はラット骨格筋の後肢に酸化ストレスを誘導するので、ラット横紋筋由来のL6細胞に過酸化水素を処理し誘導される筋蛋白質のユビキチン化に対するジペプチドの効果を検討した。L6細胞に0.5mMの過酸化水素を処理すると、分子量23kDaや37kDaの蛋白質など多くの低分子量の蛋白質が主にユビキチン化された。それらは蛋白質染色ではほとんど染色されなかったことより筋肉に多量に存在する構成蛋白質ではなく、核内転写因子などの生理活性蛋白質である可能性が示唆された。その上で、過酸化水素添加前に3時間、10mMの15種類のジペプチドをそれぞれ処理すると、Ala-XとAla-Yのジペプチドに興味深い効果がみられた。前者は過酸化水素によるユビキチン化を抑制する傾向にあり、逆に後者はそのユビキチン化を亢進した。なかでも分子量37kDaの蛋白質のユビキチン化に対するこれらジペプチドの抑制効果と賦活効果がそれぞれ著しかった。この蛋白質をマイクロシークエンス法で同定するとLactate Dehydrogenase(LDH)であった。これらの結果より、酸化ストレスは解糖系酵素をモノユビキチン化することにより、筋肉の糖代謝を阻害しうることと、あるジペプチドはその阻害された代謝を改善するのに有効であることがわかった。
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