研究概要 |
飲水は、摂食と同様ヒトを含めた動物で日常見られる行動であり、水分補給の意味で生命維持に必須の行動である。この飲水行動にともない、早期に血圧上昇および血液濃縮反応が引き起こされることが観察されている(Endo et al.,2001)。この場合、飲水量に依存する変化であるのか、また血圧上昇の機序について交感神経活動の亢進が先行するのか否かについては明らかにされていない。 今年度は、ヒトで500mlの水を2分間で飲むことにより、血圧上昇反応および血液濃縮反応が実際に起こるのかどうか、またその変化量は11の飲水と比べてどの程度か、さらに実際交感神経活動が亢進しているのかどうかを明らかにするために実験を行った。 1)500mlの飲水により血液密度は上昇開始し、11の飲水同様開始後4分あたりで最高値を示したが、そのレベルは11の飲水に比べ明らかに小さいものであった(500ml,+0.335±0.167g/l;1l,+0.733±0.101g/l)。ただしヘマトクリット値、血漿浸透圧には変化がなく、また血漿密度は若干の上昇傾向を認めたに過ぎなかった。 2)飲水中の筋交感神経活動はベースラインに比べ有意に減弱していた(ベースライン: burst rate,19.5±1.7beats/min, Total activity,7170±813U/min ;飲水中: burst rate,13.4±1.7beats/min, Total activity, 5066±692U/min)。 3)500mlの飲水により平均血圧は速やかに上昇し、飲水開始後2分あたりで最高値を示したが、そのレベルは11の飲水に比べ明らかに低いものであった(500ml,+12.6±2.1mmHg;11,+23.7±10.8mmg)。同時に心拍数の増加も観察された。
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