研究概要 |
(1)マウス頚静脈での血栓の作製 1992年に申請代表者が確立した動脈血栓モデル(Br.J.Pharmacol.,1992)をマウス(C57B)総頚静脈に適用する。ペントバルビタール麻酔下にマウスに光増感物質であるRose Bengalを静脈内注射し、ついで血管外部から540nmの光を照射する。この結果血管内に酸素ラジカルが継続的に発生し内皮障害を誘発し血栓を形成する。血栓形成は30分間連続的に行われる。この間、血流を指標に総頚静脈を観察する。 (2)静脈血栓由来の肺塞栓 血栓形成開始から2時間後、マウスを麻酔下に環流固定を行い肺を摘出する。肺は定法に従い多数の切片を作製してHE染色を施す。顕微鏡ならびに画像解析装置を用いて血栓を確認する。肺塞栓モデルは血液因子(ADP,Thrombin,アラキドン酸など)や化学物質(ブレオマイシンなど)誘発によるものはあるが生体内の他の部位に作製した血栓誘発モデルは今までになく、臨床における深部静脈血栓由来の肺塞栓モデルと考えられる。他に各種抗体を用いた免疫染色や肺塞栓形成後の生存率も指標とする。また血液サンプルを用いて、本モデルがDICを併発する可能性も考えられるのでフィブリノーゲンやフィブリンダイマーについて臨床検査方法を用いて計測する。 (3)tPA,uPA,tPA/uPA欠損マウス C57Bマウスを用いて実験結果から確立されたモデル作製方法ならびに経過観察、Data解析を用いて各種線溶系因子ノックアウトマウスでの検討を行う。これによって、肺塞栓での病態における線溶系活性化因子の役割が生体内において同定される。
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