| 研究概要 |
平滑筋臓器の機能におけるc-kit(レセプター型チロシンキナーゼ)の意義を明らかにするために,抗c-kit中和抗体(ACK2)を用い,平滑筋収縮機能の発達と細胞内Ca^<2+>シグナル系に対するc-kitの影響について,電気生理学的及び薬理学的に検討した.マウス消化管より単離されたc-kit陽性細胞において,ニスタチン穿孔パッチクランプ法を用いると,膜電位固定下に,調律性のCa^<2+>活性化CL電流が観察された.消化管平滑筋細胞においては,自発性外向き電流(STOCs),caffeine或いはcarbacholに惹起される外向き電流(I_<CAF>またはI_<CCh>)が観察され,これらの電流はCa^<2+>活性化K^+電流であることが確かめられた.STOCs及びI_<CAF>の活性化に動員されるCa^<2+>はryanodine感受性Ca^<2+>放出によって供給され,その貯蔵部位へのCa^<2+>の充填にはL型電位依存性Ca^<2+> channelが重要な役割を果たしていることが示された.
等尺性張力測定では,0.1-3mMのcaffeineにより平滑筋切片標本の弛緩がおこり,さらに高濃度で,一過性収縮に続く弛緩が観察された.この弛緩応答は,高K^+或いはcarbachol存在かで著しく加速された.これらの結果より,ryanodine感受性Ca^<2+>放出は平滑筋細胞の細胞内Ca^<2+> homeostasisと収縮機能の重要な調節因子であること,また,c-kit陽性細胞は調律的興奮とCa^<2+> fluctuationを介して平滑筋の機能発達に重要な役割を果たしていると示唆される.
|
