研究概要 |
DHPR, RyR両受容体間の直接的相互作用(順行性シグナル)の解析:細胞形質膜直下のCa^<2+>濃度を全反射型蛍光顕微鏡を用いて測定を開始したが、収縮による動きにより蛍光信号が強く影響されるため、現在、筋小胞体(SR)のCa^<2+>放出に影響せず収縮のみを抑制する系の確立に努めている。一方、骨格筋が速やかに弛緩する機構の解明を目的とした実験を開始した。強縮中の骨格筋が速やかに弛緩するためには、運動神経を介した筋細胞膜の電気刺激を停止した直後にSRのCa^<2+>放出が停止し、細胞質のCa^<2+>濃度([Ca^<2+>]_i)が速やかに減少する必要がある。ところが、SRのCa^<2+>放出機構には、筋細胞膜の電気的興奮によって直接活性化されるCa^<2+>放出機構のみならず[Ca^<2+>]_iの増加によって自己再生的に誘起されるCa^<2+>によるCa^<2+>放出(CICR)機構も存在する。従って、[Ca^<2+>]_iが増加している強縮刺激停止直後にCa^<2+>放出が停止するならば、その時点でCICRは抑制されているはずである。現在、CICRの促進剤であるカフェインを用いて、この仮説を検証中である。カフェイン拘縮中に刺激電極を用いて強縮刺激を起こし、電気刺激を停止した直後(再分極時)にカフェイン拘縮(Ca^<2+>によるCa^<2+>放出またはCICR)が停止した。また、強縮刺激直後に初めてカフェインを投与した場合にもカフェインによるCa^<2+>放出(CICR)が抑制されていることを確認した。しかし、強縮直後の電気刺激(膜の脱分極)でCa^<2+>が放出された。従って、脱分極によるCa^<2+>放出とCICRとの相違点が示された。 容量性Ca^<2+>流入(逆行性シグナル)の解析:パッチクランプ法および細胞内Ca^<2+>測定法を正常マウス筋細胞に同時適用し、標本を-90〜0mVの範囲に電圧固定し、SRが枯渇する条件下でランプパルス(-20〜-100mV)を一定間隔で与え続けることにより、容量性Ca^<2+>流入の活性化を電流として測定している。また、SRのCa量とカルシウム電流量との相関をみている。
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