研究概要 |
1、ハムスター心筋梗塞モデルの急性期におけるキマーゼ特異的な阻害薬NK3201とBCEABの効果 NK3201(30mg/kg per day, p. o.)とBCEAB(100mg/kg per day, p. o.)の梗塞3日前よりの投与はいずれも梗塞3日後の心臓キマーゼの活性化を著明に抑制し、それに伴う心機能の改善効果が認められた。ハムスター心筋梗塞後の14日間に渡る死亡率が偽投与群では60%前後であったのに対してキマーゼ阻害薬投与群では20%前後であった。以上の結果より、ハムスターの心筋梗塞後の心臓キマーゼの活性化が心筋梗塞後の病態生理において非常に重要な役割を果たしていることが示された。心筋梗塞後の病態に対するNK3201の効果に関しては今年の第75回日本薬理学会にて既に発表しており、また、以上のデーターは今投稿中である。 2、ハムスター心臓虚血再灌流後の心筋梗塞モデルにおけるキマーゼの動態。 ハムスターの冠動脈永久結紮モデルだけでなく、冠動脈-過性虚血後(90分)の再灌流における心臓キマーゼ動態に関しても検討した。本モデルにおいても梗塞3日後と一ヶ月後における心臓キマーゼの活性化が認められたが、今後、長期(例えば、三ヶ月モデル)についても検討し、慢性心不全におけるキマーゼ阻害薬の効果を含めて検討して行きたいのである。 3、イヌ冠動脈結紮後の心室性不整脈の発生率に対するキマーゼ阻害薬の影響。 イヌ偽投与群において冠動脈結紮15分前後より心室性不整脈が頻繁に認められており、結紮8時間後まで持続するが、キマーゼ阻害薬の前投与はその発生率を抑制する傾向にあった(2例ずつ)。今後、その例数を増やして行きたいのである。
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