研究概要 |
ATPは細胞外へオートクリン/パラクリン放出された後、ほとんどすべての細胞膜上に存在するATP (P2XおよびP2Y)受容体に作用して、多彩な細胞機能の調節を行っている。本研究では、現在不明なATP放出に関与する細胞内シグナル機構がいかなるものか検討を行った。 モルモットの初代結腸紐平滑筋細胞の灌流実験において、Angiotensin II (Ang II、0.3-1μM)は、この細胞からのATP放出を著しく促進した。この促進作用は、AT_2受容体拮抗薬のPD123319で影響されず、AT_1受容体拮抗薬のSC52458により著しく抑制された。さらにこの作用はphospholipase C阻害薬のU-73122やCa^<2+>-ATPase阻害薬のthapsigargin、細胞内Ca^<2+>キレーターのBAPTA/AMの、いずれによっても拮抗されたが、Ca^<2+>チャネルブロッカーのnifedipineによって全く抑制されなかった。また、Ang IIは本培養細胞においてIns(1,4,5)P_3産生を促進したが、この作用は、SC52458によって完全に拮抗された。 これらの知見からAng IIによる結腸紐培養細胞からのATP放出にはIns(1,4,5)P_3受容体を介した細胞内Ca^<2+>シグナルが関与していることが明らかとなった。
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