研究課題/領域番号 |
13670109
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研究機関 | (財)東京都医学研究機構 |
研究代表者 |
中田 裕康 財団法人東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 副参事研究員 (00041830)
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研究分担者 |
神谷 敏夫 財団法人東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 研究員
齋藤 修 財団法人東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 研究員 (60241262)
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キーワード | アデノシン / Gタンパク質共役受容体 / プリン受容体 / ダイマー / ATP / P2受容体 / 神経伝達 / クロストーク |
研究概要 |
Gタンパク質共役型受容体のあるものは同じ受容体同士もしくは異なる受容体間で複合体を形成することにより、その特性を変化させることが最近報告されており、受容体機能の新しい多様化メカニズムとして注目されている。本研究では、プリン受容体のサブタイプであるアデノシンA_1受容体(A_1R)とP2Y_1受容体(P2Y_1R)間のヘテロ複合体形成を培養細胞及び脳神経系において実証した。 HEK293T細胞に共発現させたHA-tag標識A_1R-GFP融合タンパク質(HA-A_1-GFP)及びMyc-tag標識P2Y_1R-Renilla luciferase融合タンパク質(Myc-P2Y_1R-Rluc)の複合体形成の有無は、抗HA抗体及び抗Myc抗体による免疫共沈実験と免疫組織化学によって検討した。更に、生きた細胞におけるA_1R/P2Y_1R複合体形成の動態を調べるためにBioluminescence resonance energy transfer(BRET)実験による解祈を試みた。またラット初代培養ニューロン及び脳スライスにおける両受容体の分布を観察し、ラット脳の膜抽出画分におけるA_1R/P2Y_1R複合体の存在を免疫共沈実験により調べた。 HA-A_1R-GFP及びMyc-P2Y_1R-Rlucを共発現させた細胞において、それぞれの受容体リガンドであるCPAとADPbSによって同時に刺激した場合のみBRET比は経時的に上昇し、10分後に約2倍に達した。この効果はP2Y_1RアンタゴニストMRS2179により有意に抑制された。 このことはA_1R/P2Y_1R複合体形成が両受容体の活性化に依存して促進することを示唆している。また、ラット脳の膜抽出画分の抗A_1R抗体免疫沈降物中に、抗P2Y_1R抗体で検出されるタンパク質バンドが観察された。更に、両受容体は大脳皮質や海馬の多くのニューロンに局在していることが免疫2重染色により観察されたことからも、脳神経系においてA_1R/P2Y_1Rヘテロ複合体が実際に存在することが明らかとなった。
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