研究概要 |
本研究は,巨核球・赤血球系細胞における小Maf群因子の機能を明らかにすることを目的としている. 本年度は以下の点を明らかにした. (1)mafG遺伝子の発現制御機構の解析 mafG遺伝子の転写開始点を決定したところ,同遺伝子には,3つの異なる第1エクソンIa,Ib,Icが存在し,3つの独立したプロモーターにより制御されていることが明らかになった.これらは,組織や,細胞系列により貢献度が異なっており,特に,造血細胞ではIaとIcが主として使用されていた.これら3つのプロモーターを含む遺伝子上流約7kbpの領域をLacZ遺伝子上流に結合させたレポーター遺伝子を作製し,マウス受精卵に導入してトランスジェニックマウスを作製したところ,神経細胞,レンズ,肺,腎臓でつよいLacZ遺伝子の発現が認められたが,造血細胞おける発現は認められなかった.この7kbpの領域には,神経,レンズ,肺,腎臓でのmafG遺伝子の発現を制御する領域が含まれることが明らかになった. (2)巨核球におけるsmall Mafの標的遺伝子の同定 胞体突起形成に関与する遺伝子を明らかにするために,胞体突起形成が起こらないmafG-/-::mafK+/-マウス由来の巨核球と野生型巨核球とに発現しているmRNAのサブトラクションを行った.その結果,細胞骨格に関係した遺伝したいくつか得られた.この他,新規の因子としてclone325を得た.clone325の発現を調べたところ,興味深いことに,赤血球系では少ないのに対して,巨核球系では非常に高い発現が認められた.
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