研究概要 |
血小板形成における小Maf群因子の機能を明らかにするために,以下の実験を行った. (1)小Maf群因子の下流で機能する血小板形成機構を担う分子の同定.巨核球からの胞体突起形成に異常が認められる小Maf群因子欠損マウスの巨核球と,野生型巨核球の間で発現に差がある遺伝子を明らかにするために,サブトラクション法を行った.その結果,アクチンや,チュブリンなどの細胞骨格に関係した遺伝子が,変異巨核球において減少していた.また,新規分子として,クローン#325を同定した.同因子は,未分化幹細胞や赤血球系細胞では発現が低いが,巨核球への分化に伴い発現が上昇することが明らかになった. (2)巨核球を利用した小Maf群因子の構造・機能連関の解析.小Maf群因子は,ヒト,マウス,トリ,カエル,フグに至る多くの脊椎動物におて存在しており,bZip構造以外にも,そのアミノ末端側領域,カルボキシル末端側領域が良く保存されている.そこで,MafGのカルボキシル末端側の欠失変異分子を作製し,その性質を,in vitro, in transfecto,そして,トランスジェニックマウスを用いたin vivoの実験系で解析した.これまでにin tranfectoの結果として293T細胞に対する一過性遺伝子導入実験から,C末端欠失分子は,野生型分子に比べて,転写活性化をしやすい傾向があることが明らかになった.また,巨核球における過剰発現マウスでは,野生型分子も欠失分子も巨核球からの胞体突起形成を抑制したが,その抑制の程度は,欠失分子では軽度であることが示された.
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