プロテインミクロシーケンス法によってミッドカイン(MK)結合タンパク質の中で、110kDaのタンパク質をβ1-インテグリンと同定した。そこで、MKとβ1-インテグリンの結合をより詳しく調べるためにβ1-インテグリンcDNAのC-末端にHAタグをつけたコンストラクトを作成し、COS-7細胞にトランスフェクトした。その細胞のライゼートをMKアガロースカラムにかけ、0.3M、0.4M、0.5M NaClで溶出したところ、主として0.3M、0.4M、NaClで溶出されたが、0.5M NaClでも溶出され、さらに一部はカラムに結合したままであった。一方、Ca_<++>非存在下で結合させ、溶出液に10mMEDT Aを添加した場合、0.3M、0.4M、NaClで完全に溶出された。従って、MKとβ1-インテグリンの結合はカルシウム依存的であった。MKに結合するβ1-インテグリンのα鎖を同定するために、COS-7細胞とマウス13日胚のCHAPS可溶化液を用いて実験を行った。COS-7細胞にβ1-インテグリン/HAcDNAをトランスフェクトし、細胞ライゼートをMKカラムに結合させた後、0.5M NaCl/EDTAで溶出した。溶出液をSDS-PAGEで分離後、抗α3、α4、α5、α6-インテグリン抗体を用いて、ウエスタンブロッチングを行った。その結果、α4-インテグリンの80kDaのバンドとα6-インテグリンの110kDaのバンドを検出するこたができた。マウス13日胚を用いた実験では、α6-インテグリンだけしか検出できなかった。そこで、MKに結合するインテグリンはα4β1、α6β1-インテグリンであると示唆された。次に、α4-インテグリン/FLAGおよびα6-インテグリン/HAcDNAを作成し、それぞれをCOS-7細胞にトランスフェクトした。α4-インテグリンについては、細胞のライゼートを抗FLAG抗体アガロースカラムを用いて精製した後、α6-インテグリンについては、ラミニンアガロースを用いてアフィニティ精製した後、MKアガロースカラムにかけて、結合能を調べた。その結果、α4β1、α6β1-インテグリン共に、精製後も同様にMKと結合することが判明した。
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