LDL受容体ファミリーに属するLRP6の細胞外ドメインをFLAGタグと結合させた組み換えタンパク質を作成し、ミッドカイン(MK)アガロースカラムにかけたところ、カルシウム依存性に強く結合した。この結合の強さはLRPとほぼ同様であった。LRP6はWnt受容体複合体の一成分であり、脳にも発現され、また、LRPとは細胞内ドメインが大きく異なっている。LRP6を介したMKのシグナル伝達の可能性が生じた。コンドロイチン-4硫酸6-スルホトランスフェラーゼをバキュロウィルスに生産させ、組み換え体酵素をヘパリンアガロースカラムクロマトグラフィーで高度に精製した。この精製酵素を用いて、コンドロイチン硫酸を母体にして、E構造、すなわち、N-アセチルガラクトサミンの4、6-ジ硫酸構造を形成した。このE構造を持つ人工コンドロイチン硫酸はMK-アガロースカラムクロマトグフフィーによりMKと強く結合することが明らかになった。すなわち、グルクロン酸の3-硫酸構造はMKへの強い結合に必要不可欠なものではないことが判明した。MKに結合する膜系タンパク質を13日マウス胚よりMK-アガロースアフィニティーカラムクロマトグラフイーで単離し、SDS-PAGEで分別後、トリプシン消化し、プロテインシーケンサーで配列を決定した。その結果、110kDaの結合タンパク質としてβ_1インテグリンが同定された。β_1インテグリンとMKの結合はカルシウム依存性であった。α鎖について検討すると、MK結合性のインテグリンはα_4β_1、およびα_6β_1であった。これらのインテグリンは精製後もMK結合性を保ち、直接MKと結合することが判明した。
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