研究課題/領域番号 |
13670120
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
林 謙一郎 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (90238105)
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研究分担者 |
祖父江 憲治 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (20112047)
西田 亘 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (80271089)
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キーワード | 血管平滑筋細胞 / 脱分化 / 不飽和リゾフォスファチンジン酸 / シグナル伝達 / ERK / p38MAPK |
研究概要 |
我々は初代培養系での血管及び内臓平滑筋細胞の分化型形質維持システムを確立し、この培養系を用いた解析により、ヒト血清及びmild oxidationされたLDL(moxLDL)由来の脂質分画が強力な平滑筋細胞脱分化能を有することを見い出した。 本年度の研究は上記の分化型血管平滑筋細胞培養系を用いて、これら脂質分画に存在する脱分化因子を検索・同定し、脱分化を来すシグナル伝達系を解明することを目的として遂行した。この結果、ヒト血清及びmoxLDLに存在する不飽和脂肪酸を側鎖に持つリゾフォスファチンジン酸(不飽和LPA)が強い平滑筋細胞脱分化誘導能を持つことを見い出した。飽和脂肪酸を側鎖に持つLPA及びフォスファチンジン酸やLPAと類似した構造を持つスフィンゴシン1-リン酸では脱分化誘導作用が認められなかった。不飽和LPA刺激により、血管平滑筋細胞の脱分化が先行して起り、脱分化した細胞が遊走・増殖する。また、不飽和LPAによる血管平滑筋細胞の脱分化は不可逆的で、短時間、不飽和LPAで刺激した後、培地交換により不飽和LPAを除去しても分化型形質は維持されず、脱分化が進行した。不飽和LPAによる脱分化にはERK及びp38MAPKの活性化が重要で、両MAPKを介したシグナル伝達系を阻害することで脱分化が阻止できた。 以上の解析から不飽和LPAは強力な平滑筋細胞脱分化能を持つことが明らかになり、不飽和LPAが動脈硬化症発症の強力な誘引因子である可能性が示唆された。
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