1、BITのチロシンリン酸化を誘導するモノクローナル抗体による、in vivoでのBITの作用の解析-抗BITモノクローナル抗体1D4は、BITの細胞外ドメインに結合してこれを活性化し、その結果細胞内ドメインのチロシンリン酸化を惹起する。これをラットの第3脳室に投与して、行動のリズムを解析した結果、主観的暗期の前半に投与するとリズムの位相が後退し、後半では前進した。これは、光刺激の場合と同様の効果であり、この結果は、光刺激に対する応答にBITが関与していることを示唆する。 2、BITの細胞内情報伝達機構の解析-モノクローナル抗体1D4を培養神経細胞に与えると、BITのチロシンリン酸化と共に、MAPキナーぜの活性化が起きることが明らかとなった。このことは、BITのチロシンリン酸化が細胞内シグナル伝達系を活性化したことを示している。また、BITのチロシンリン酸化は、srcファミリーの阻害剤でブロックされたことから、BITのチロシンリン酸化がsrcファミリーを介していることが示唆された。 3、BITノックアウトマウスを用いたリズムの同調の解析-現在ノックアウトマウスの行動を赤外線モニターにて観察しているが、明暗周期には同調し得ることが確認された。現在恒暗条件にて光パルス刺激を行っている。
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