研究課題/領域番号 |
13670128
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
中村 史雄 横浜市立大学, 医学部, 講師 (10262023)
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研究分担者 |
小倉 顕一 横浜市立大学, 医学部, 助手 (20326028)
佐々木 幸生 横浜市立大学, 医学部, 講師 (10295511)
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キーワード | チロシンホスファターゼ / セマフォリン / プレキシン / 神経回路形成 / 細胞内情報伝達 |
研究概要 |
PTPδ基質結合(D/A)変異体を用いた培養神経細胞での検討:mycタグを付加したヒトPTPδD/A変異体をニワトリあるいはラット胚脳由来初代培養細胞に導入した。Sema3A刺激後、myc抗体による免疫沈降を行った。しかし回収されるmycPTPδが少なく、刺激依存性に結合するチロシンリン酸化された蛋白質は得られていない。一方、同様の実験をmycPlexin-A4を用いて行ったところ、Sema3A刺激依存性にリン酸化される5つの蛋白質を見いだした。最も顕著な変化を示した100kDaについて、現在その分子の同定を行っている。 PTPδ(D/A)を用いたYeast Two Hybrid法:PTPδD/Aの細胞内領域をBaitに、チロシンキナーゼのfynを酵母内に同時に発現させて、マウス胚脳由来cDNAライブラリーをスクリーニング(3千万クローン)した。100個ほどの陽性クローンの中にAIRC、FGFR2、Hepatic Leukemia factor、Rab8bなどが存在した。プリン合成に関与するAIRCはfynと強く結合したが、fynやPTPδによるリン酸化・脱リン酸を受けなかった。 PTPδ細胞外領域の結合部位の検討:マウスPTPδの細胞外領域をRT-PCR法により単離した。さらにアルカリホスファターゼ(AP)との融合蛋白質として発現するベクターに導入した。HEK293T細胞で発現させた融合蛋白質(APδex)を用いて結合実験を行った。APδexはCOS-7細胞に発現させた既存の神経ガイド分子受容体であるNeuropilinやPlexin、あるいはLAR型PTPであるLAR, PTPδ、PTPσとは結合しなかった。一方ニワトリやマウス胚の初代脳分散培養中の、一部の円形の細胞にAPδexは結合した。さらにマウスE15胚の凍結切片を染色したところ、大脳皮質1層と3〜4層にも結合が観察された。そのほか各種神経核の一部の細胞にも結合した。このような染色像はアルカリホスファターゼ単独では得られないことから、PTPδの細胞外領域に結合する特異的細胞群があると考えられた。現在はマウスE15胚脳よりcDNAライブラリーを作成し、Apδexと結合する分子のスクリーニングを行っている。
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