研究概要 |
(目的)thioredoxin(TRX)遺伝子の活性化機構の情報を利用してTRXの機能解祈を行う。 (成果)1.TRX遺伝子のヘミンやtertial butylhydroquinone(tBHQ)などのeletrophilesによる活性化機構にはantioxidant responsive element(ARE)を介した転写因子Nrf2による調節が重要であることを示した。また、AREの活性化調節にTRXによるredox調節機構が重要な役割を果たすことを明らかにした(JBC,2001;Oncogene,2003)。これらの知見は、赤血球分化、虚血再還流障害や化学発癌に対する生体防御におけるTRXの役割を示唆し、ヘムや化学物質によるシグナル伝達機構の解明につながると考えられる。 2.TRX遺伝子の神経成長因子NGFによる発現誘導機構へのcyclic AMP responsive elementおよびCREBの関与を明らかにした。さらに、NGFによるPC12細胞の神経突起伸長およびシグナル伝達にTRXが必須の役割を果たすことを明らかにした(J. of Neuroscience, 2003)。 3.マウスTRXゲノムをクローニングしてこれらのpromoter制御情報をもとにしてTRXノックダウンマウス作成準備を継続している。また、TRX遺伝子の発現を抑制するRNAiベクターを作成した。さらにTRXのnegative regulatorであるTRX binding protein-2(TBP-2)の解析を行い、transgenic,knock out miceの作成を開始した。 4.酸化ストレスによる細胞死の機構を明らかにした(EMBO J., 2002.)。また、多環芳香族化合物メチルコランスレンによるアポトーシスの機構を初めて明らかにした(JBC, 2002)。
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