研究概要 |
Camurati-Engelmann症候群患者家系13家系について変異解析を行いR218C, R218H, C223R, C223Gの4つの変異を見いだした。これらの変異は既知のTGFB1内のSNPを用いたハプロタイプ解析、および孤発例の両親の解析結果から、少なくとも9個の独立した突然変異が生じていることが判明しCEDの変異遺伝子は共通の創始者から伝達されたものではなく、多くは新生突然変異によると考えられた(論文投稿中)。これらの、変異の生物学的な意味の解析を行うために、変異蛋白質を発現させ、生化学的な解析を行った。変異蛋白質は、LAPと呼ばれる部位が活性型のTGF-β1をうまくfoldingできずに潜在型とならないことが原因であると、結論した。すなわち、TGF-β1シグナルが細胞内で冗進していると考えられる。我々は、さらにCamurati-Engelmann症候群患者に見つかったR218Cをマウスに導入することにより、骨代謝がさらに詳しく解析できると考え、モデルマウスの作製を行った。相同組み換え体ES細胞を1個得ることができ、キメラマウス9匹を産出したが、これらのキメラマウスは不妊であり、精巣上体から取り出した精子は不動であった。相同組み換え体ES細胞自体が、問題であった可能性が否定できないため、現在さらに3個の相同組み換え体ES細胞を分離し、キメラマウスの作製を行う予定で実験を進めている。TGF-β1の改変自体が不妊の原因である可能性も残る。 TGF-β1が骨代謝に関与していることは、間違いないと思われたので、TGF-β1,TGFB receptors, SMADs, LRP, c-Fosなどの多型を収集し、骨密度を測定した500人についてこれらの多型と骨密度との間の相関解析を行った。LRPの多型において骨密度の決定要因である(P<0.05)可能性が示唆されている(論文準備中)。
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