研究課題/領域番号 |
13670151
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
病態医化学
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
鈴木 敬一郎 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (70221322)
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研究分担者 |
江口 裕伸 兵庫医科大学, 医学部, 助手 (60351798)
山口 幸洋 兵庫医科大学, 医学部, 助手 (60330453)
大河原 知水 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (50330452)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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キーワード | 一酸化窒素 / 動脈硬化 / 過酸化物 / HB-EGF / 血管平滑筋 / JNK / アポトーシス |
研究概要 |
一酸化窒素(NO)は血管拡張、神経伝達など多彩な生理作用のある一方、peroxynitriteを介して細胞障害性も有し、血管系に対し酸化ストレスを与える。一方、ヘパリン結合性EGF様増殖因子(HB-EGF)は血管平滑筋細胞で発現し、動脈硬化に関与することが知られている。そこで昨年度に引き続き血管平滑筋細胞においてNOによるHB-EGF誘導のメカニズムについて検討を加えるとともに膜結合型HB-EGFのアポトーシス抑制作用を明らかにした。 NOによるHB-EGFの発現誘導経路について検討をしたところ、HB-EGFの発現誘導はc-Jun N-terminalキナーゼ1(JNK1)のdominant-negative mutantで阻害された。さらにNOによるJNKの活性化とHB-EGFの発現誘導がカタラーゼ、N-アセチルシステイン(NAC)で阻害された。昨年度の結果と併せ、NOによる過酸化物の蓄積がJNKを活性化しHB-EGFの発現を誘導することが示唆された。 NOによって誘導されるHB-EGFの役割を検討するために、SNAPとともにアンチセンスHB-EGFオリゴヌクレオチドをラット血管平滑筋細胞に添加したところ、DAPIの核染色にて染色体凝縮(chromosome condensation)が認められた。また、よう化プロピジウム(propidium iodide)を用いたFACS解析ならびにDNAのアガロース電気泳動によってもアポトーシスが確認された。以上によりNOとアンチセンスHB-EGFオリゴヌクレオチドを同時に投与するとアポトーシスを含む細胞死をもたらすことが考えられた。 以上より血管におけるNOによる酸化ストレスに対してHB-EGFが誘導され保護的に働き、抗動脈硬化作用をもたらしていることが示唆された。
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