研究課題/領域番号 |
13670163
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
岸 宏久 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助手 (90323394)
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研究分担者 |
北川 元生 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (40262026)
張ケ谷 健一 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (40101894)
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キーワード | CD44 / 腫瘍 / 浸潤 / 転移 / バリアント |
研究概要 |
CD44接着分子は最も分子量が低いCD44s分子の細胞膜近傍の細胞外ドメインに、選択的スプライシングにより10個のエクソンの内のいくつかが挿入され、種々の組み合わせで同位体が形成される。これらの同位体の発現は上皮性腫瘍や血液腫瘍の浸潤・転移に関わると数多く報告されている。 今回、CD44同位体の違いによってどのようなメカニズムで癌細胞の浸潤や転移に影響を及ぼすのかを解明するために、発現ベクターに組み込んだCD44s、CD44v8-10、CD44v3,8-10、CD44v4-10各同位体のcDNAをリポフェクション法を用いてCD44陰性のヒト肺癌細胞株に導入しそれぞれのCD44同位体が定常的に発現している細胞を作成した。そしてこれらの細胞を免疫不全マウスの皮下に移植し、形成された腫瘍の組織を観察した。その結果腫瘍の発育にはCD44同位体の発現の有無で大きな差は見られなかったが、CD44発現細胞では周囲組織への浸潤性が亢進し、特にCD44v4-10導入細胞では腹膜へ浸潤した腫瘍が多く見られた。この機序としてはCD44を発現する腫瘍細胞の運動能の亢進、細胞外基質との細胞接着性の変化、あるいはマトリックスメタロプロテイアーゼの活性化などの現象が起こっている可能性が推定される。今後in vitroでこれらCD44同位体を発現した細胞の細胞外基質との接着能、浸潤能、遊走能あるいはマトリックスメタロプロテイアーゼの発現の変化を検討し、さらにCD44各同位体を発現した細胞をCD44のリガンドであるヒアルロン酸や抗CD44抗体で刺激し、細胞内で生ずるシグナル伝達機構の違いについて解析する予定である。
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