研究概要 |
鋸歯状腺腫(SA)34例と鋸歯状腺腫内癌(CA/SA)7例のE-cadherin (exon6, 7, 8, 9)遺伝子、APC(exon1-7)遺伝子、および両者のpromoter領域のmethylation、検索を行った。 1.E-cadherin遺伝子変異 SAの2/34(5.9%)にexon 9の変異が認められた。2例中1例でsequenceが終了したが、変異パターンはSAと同様の胃型形質を示す分化型胃癌に認められるものと同様のcodon418-423の18-base pairの欠失であった。CA/SAでは変異は認められなかった(0/7)。 2.E-cadherin promoter領域のmethylation SAの23/34(67・6%、CA/SAの6/7(85.7%)にmethylationが認められた。 3.APC遺伝子変異 APC遺伝子変異は、SAの1/27(3.7%)に見られたが、CA/SAでは癌部、腺腫部ともに認められなかった(0/10)。 4.APC promoter領域のmethylation SAの7/34(20.6%)methylationが認められた。 5.まとめ SAでは、APC異常は遺伝子、methylationともに通常のTAに比較して低いが、E-cadherin promoter領域のmethylation頻度が高く、APCの代わりにE-cadherin異常がその発生に関与する可能性が示唆される。
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