| 研究概要 |
研究目的:針生検および外科的切除肝組織を用い、線維増生とTGF-β1との相関をin vivoの条件下で解析する。
1.ホルマリン固定、パラフィン包埋ヒト肝組織でのTGF-β陽性細胞の免疫組織学的同定。小葉内ではKupffer細胞や類洞壁細胞が陽性で肝細胞は陰性。一方、線維化巣ではマクロファージが散在生に陽性を示すがリンパ球、形質細胞、胆管上皮,線維化巣内の筋線維芽細胞は陰性であった。
2.線維化巣はlatent TGF-βbinding protein(LTBP)が強陽性,一方、固有の線維組織はLTBP陰性であった。
これまで、TGF-βやLTBPはホルマリン固定、パラフィン包埋したヒト肝組織片では陰性とされてきたが、今回、抗体の選択と各種の抗原賦活法の組合せにより初めて陽性所見が得られ(現在、投稿準備中)、archval human liver tissueを用いて、肝線維化とTGFβとの相関の解析が一部可能となった。
3.肝線維化をになう肝星細胞(HSC)を、その静止型および活性型とも同定出来るマーカーとしてvinculinを発見した。
今後の研究課題:以上の成果は、肝線維化とTGF-βとの相関の極一部であり、TGF-βの分泌から、HSC上での機能発現までのその他の過程、すなわち、TGF-β1の産生ではLAP,潜在型TGF-βの活性化ではtransglutaminase, HSC上でのレセプター発現(I, II型)、HSC内でのシグナル伝達(Smad2,4)についても、免疫組織化学的証明を試みたが陽性反応が得られなかった。今後、in situ hybridizationとも合わせ、in vivo,それもホルマリン固定、パラフィン包埋ヒト肝組織を用いて、肝線維化とTGF-βとの相関の解析をさらに進める必要がある。
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