研究概要 |
リンパ節転移陰性乳癌(n0乳癌)患者においては信頼できる予後因子を見つけることが術後の治療方針を決定する上で非常に重要である。今回、我々は当施設で診断された152例の原発性n0乳癌患者のリンパ節を抗ケラチン抗体(AE1/3)を用いて免疫組織化学的にoccult micrometastasisの有無を検索した。また、既知の臨床病理学的予後因子(ホルモンレセプター、P53 status,組織学的異型度、腫瘍径など)も同時に検索し、予後との関連を単変量及び多変量解析で調べた。患者の平均年齢は52才で、平均follow-up期間は97.8ケ月であった。 結果:1)occult micrometastasisは25例(16.4%)に認められた。2)occult micrometastasisと他の臨床病理学的予後因子との有意な関連は認めなかった。3)Log-rank testによる単変量解析ではoccult micrometastasisと無再発生存率(P<0.0001)ないし全生存率(P<0.0001)との間に有意な相関が認められた。4)Cox's proportional-hazards modelによる多変量解析ではoccult micrometastasisが無病生存率(P<0.0001)及び全生存率(P<0.0001)に関し、最も重要な予後因子であった。 今後はp53遺伝子の変異やmaspinの発現を検索する予定である。
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