研究概要 |
CD5陽性びまん性大細胞型Bリンパ腫(CD5^+ DLBCL)はCD5^-DLBCLに比較して初発時臨床症状が明らかに異なり、(1)高年齢者に多い、(2)performance statusが2以上の症例が多い、(3)LDH高値の症例が多い、(4)臨床病期がIII/IV期の症例が多い、(5)節外性臓器浸潤が2ヶ所以上の症例が多い、(6)B症状を持つ症例が多い、(7)生存曲線率が下回り、5年生存率が低い特徴をもつ。病理組織学的にCD5^+ DLBCLのほとんどはcentroblastic variantを示す。CD5^+ DLBCLはCD27:2/13,CD38:7/14,CD148:7/13に陽性を示し、メモリ-B細胞もしくは活性化B細胞の陽性率は低い。免疫グロブリン遺伝子可変領域(VH遺伝子)解析からCD5^+DLBCLは2群に分かれたことがわかった。germlineもしくは低頻度のmutationを示す群(low群)とsomatic hypermutationを示す群(high群)である。bcl-6遺伝子promoter領域のsomatic mutationは6例でgemlineを示し、5例は1塩基のみmutationしていた。Low群は2例で1例にmutation、high群は6例中3例にmutation、(3)他3例(VH遺伝子未解析)は1例にmutationを認めた。一方、CD5^-DLBCL8例の結果は3例でgemline、4例でmutationを示し、mutationを示した塩基数はそれぞれ1、3、4、5塩基であった。他1例では1塩基の欠損(deletion)を認めた。DNA microarrayではCD5^+ DLBCLはCD5^-DLBCLと異なる発現パターンを示した。以上の結果から、CD5^+ DLBCLは一疾患単位として特徴が明らかである、通常の化学療法とは異なる治療が必要と考えられる。
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